自分の殻を破る~ Come Out of My Shell~

輪島塗という伝統工芸職人50人が、毛利家ゆかりの江戸時代の貝桶(かいおけ)に学びながら失われた漆の技を探り、「平成の貝桶」の制作に挑む番組の再放送を観た。普段はそれぞれ独立して仕事をしている職人たちが、話し合い知恵を出し合いながら江戸時代の技の再現と更にそれを超えた新しい表現に挑むドキュメンタリーだ。この貝桶での新たな挑戦は蒔絵と沈金の融合で、漆で描かれた草花の上からノミをいれて漆を削り、金粉や金箔などを埋め込み立体感を出すという試みだった。その最後の過程は、若手の女性沈金師に任せられた。これまで誰もやっていないことでしかも失敗は許されない、万が一自分が失敗したらすべてが台無しになるかもしれないという相当な重圧の中で、なかなかノミを持つ手が進まない。そこにあるのは大変な緊張感と恐れであると分かる。「気持ちに迷いや揺らぎがあるとノミが進められない。でもそこは、自分で殻を破っていかないと。」プロジェクトの棟梁のことばは、私にとって身に染みるものだった。

私は、とても怖がりだ。石橋をたたいて、下手すると叩きすぎて渡る前に壊してしまうくらいの時もあった。足踏みしてしまうときは、上手くやろうとしたりそれが自分にとって大事なことなら尚更本当は自分は上手くやれないのではないか、自分で思っていたほどには出来ない自分を知るのが怖いとき、かもしれない。番組のように大勢で進めるプロジェクトと違って、自分だけのことなら出来なかったからといって他人に迷惑がかかるわけでもない。ただ出来なかった自分がいたらそれを知り、認め、そこからまた始めればいいだけなのに。出来ない自分は格好悪い?認めたくない?誰に対して?でもこれって結局は、自分をありのまま受け入れていない?ひとの目を気にしてる?傷つくのが怖い?ってことなのかな?って考えた。

それまでの自分なんか関係なく、毎日新しい私が初めてのことに挑戦するのと同じこと。実際同じ日は一日だってない。固くなってしまった殻を破って外へ。少しでも前へ進むために。

girl with bird

冬至の日に~2015年に向けて

昨日、今年最後の展示が無事終了致しました。来てくださり、お手に取ったり購入してくださった皆様方どうもありがとうございました。ご自分のため、またはクリスマスのお友達への贈り物として見えないところでも作ったものたちが届けられることを思うと、嬉しいながらもやはりどんな時でも自分の名前で世に出すものはすべて、責任を持ってひとつひとつきちんとしたものを作らなければ、と改めて身が引き締まるのを感じました。こちらは「メッセンジャーエンジェル」。ポケットを開けるとメッセージが現れます。今年は準備不足で叶いませんでしたが、来年これを使ったワークショップの機会がもてたらいいな、と思っています。三人とも友人のもとへ行きました。

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さて、先月から自分のブランディングということにも取り組んできていて、様々考えることがありました。今日はこの冬至の日に、来年に向けて活動の方向の見直しと取捨選択の必要性を感じているのでそのことを少し書いておこうと思います。今年は、漸く「きっとこんなお役に立てますよ」のフラッグを掲げて、私的にはドアを全開オープンにしたつもりだったのにあまり気づいてもらえず、残念ながら必要な人のところへはなかなか届かなかったようでした。来年は、もっと本来の自分の作品の質を高めるべく時間をかけてじっくり納得のいくものを作り発表していくことに重点をおくこと。具体的には、既に決まっているいくつかの展覧会に向けてそれを含めた本作りと、そのための版画にじっくりと取り組むこと。単なる展示に留まらず、本を軸とした朗読会などの表現活動にも広げていきたい。これまでと同様に社会貢献としては、こちらも決まっているものも含めてワークショップの展開と個人のオーダーメイド品の制作を継続して行っていきます。個人的には、「自己肯定」も取り組まなければならない大きな課題。自分をもっと解放する方法を見つけて取り入れていくことも大切なキーになると思っています。ダンスとか歌とかにももっと積極的に取り組んで様々なひとと関わっていこうとも。どんなふうに変わっていけるのか楽しみにしながら、冬至の日に来年に向けてのエネルギーを感じています。