バルテュス展を観に行った。ビックネームの展覧会で話題性が高くても、実際に行ってみるとなんだか物足りない感じで終わってしまうものが多かったように感じていたので、久しぶりにじんわりといい展覧会を観た充実感があった。中でもすごく好きだった絵がふたつあった。どちらも少女を描いたもので、人物の内側から発せられる光の感じや背景の静謐で濃密な空気感みたいなものが凄くて引き込まれた。絵の存在感をとても感じた。最後の写真の展示もバルテュスという人となりを感じられて良かった。眼光鋭く伊達で頑固な老人の強い存在感。輪郭のはっきりした印象で自分の好いと思うもの、目指すことにひたすら頑固に取り組んできた力強さがくっきりと表れていた。今回の日本での回顧展への並々ならぬ思い入れと、バルテュスの築いてきた仕事への情熱を伝えたいという思いは節子夫人の言葉の中に表れていて、ここで得たインスピレーションをそれぞれが余所でつなげることが彼の仕事をつなぐことという言葉にも感動して涙が出てしまった。静かな感動で満たされた良い展覧会だった。帰りは、上野公園の緑と夕方の涼しい風に吹かれてしばらくぼんやりと過ごした。ほっとしてリラックスし満たされた気持ちになった。
こっちはコーヒーカップのカード。マルティプルで重ねてみたら面白い。新しい展開が出来そう。