Art Book-Work in Progress 5

ライナー・マリア・リルケ 「ナルシス」

ナルシスが死んだ その美しい姿からは絶え間なく まるでヘリオトロープの香りのように濃密な 彼の本質に近いものが立ちのぼっていった けれども彼の運命は自分をみつめることだった 彼は愛した 自分から出てまた自分の中へ帰ってきたものを そしてもはやあからさまな風のなかまじってはいなかった うっとりしてさまざまの姿の園を閉じ 自分を放棄しながら 彼はもはや存在することができなかった

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